• 本編特別映像解禁!イーサン・ホークによる甘い歌声、渾身の演奏を特別公開!
  • チェット・ベイカーについて
INTERVIEW|インタビュー
  • イーサン・ホーク
  • チェット・ベイカーとの出会いについて

     ブルース・ウェーバーの映画を観るまでは、チェット・ベイカーへの興味なんてなかった。ジャズ愛好家以外には忘れ去られた存在だと思っていたんだ。それがウェーバーの『レッツ・ゲット・ロスト』(88)を観て変わったよ。あの映画はチェットの人生の終わりと始まりを、並べて提示していたんだ。映画を観てチェットが大好きになった。特に彼の音楽の虜になったよ。そこからチェットとの付き合いが始まったんだ。

    本作で表現したかったことについて

     学校を飛び出したクールな若者の陰鬱で薬物まみれのストーリーというのには、昔から違和感を覚えていた。ヘロインをやりすぎて死んだ友だちもいるし、ヘロイン依存の家族もいた。僕らはそういう薬物依存の人間に仮面を被せて、薬物が“悪い”と言う。そんなの当たり前だ。薬物は最悪だし、人間を破滅させる。
     僕が表現したかったのは、“悪い”の仮面の下に隠された人間の姿だ。チェット・ベイカーに対する愛情が感じられなければ、彼を演じたりしない。もちろん修正を加えて美化したくもない。彼はたくさんの問題を抱えた人間だった。僕はそういう人物を、愛情を持って演じたかったんだ。

    チェット・ベイカーの魅力について

     チェット・ベイカーの物語には強烈な魅力がある。ドラッグに溺れて自分を傷つけながら、音楽を生きるために必死に闘った。この二重性だ。音楽家として輝かしい成功を収める一方で、私生活では失敗を重ね、どん底にいる。この映画では依存症の不思議や、それが引き起こす悲劇が描かれている。
     僕がチェット・ベイカーの何が大好きかというと、彼がキャリアにおいて基本的にはよい評価を一度も得られなかったという事実だね。面白いよ。初期のころは高く評価されたが。人々は彼を笑い物にした。それなのにレコードは売れ続けているなんて最高だ。芸術家はいつも理解されたいと思っているが、時には理解されないものなんだ。僕らはそのことから刺激を受けることができると思う。

  • ロバート・バドロー監督
  • チェット・ベイカーについて

     私はジャズがずっと大好きで、映画学校時代に初めて手がけた映画が1940年代を舞台にしたモノクロのジャズ作品『Dream Recording』(03)だった。これはチェット・ベイカーと彼の物語のいくつかの要素を使い、より大きな、もともと自分が言いたかったことを伝える作品だった。
     そうしたなかでチェットが歯を失って復活をしたことや、(プロデューサーから)映画を作らないかと誘われたことなど、いくつかの事実を発見した。私には彼が人種の変革が行われているアメリカにおいて、黒人のスターに認めてもらいたいと思っている白人だと思えたんだ。こういったことが興味深い主題だと思った。

    イーサン・ホークとの仕事について

     私たちがイーサン・ホークに行き当たったとき、彼はすでにチェット・ベイカーについての豊富な知識を持っていて、過去に自分でもチェット・ベイカーの映画を作ろうとしていた。私と同じぐらい取り憑かれていて、物語の基本ルールを知っている人と出会った感覚だった。私たちはよいパートナーになったし、同志を得たと感じたよ。
     私は“闇を抱え込んだジャズ界の暗いスター”というステレオタイプを選択しない俳優に演じてほしかった。こういう作品は、ただクールで雰囲気があるだけのジャズ映画で終わってしまいかねないからね。自然で人間を描いた奥行きのある作品にしたかった。イーサンは本当のチェット・ベイカーはこうだったかもしれないと、人物像を想像しながら演じたんだ。チェットは伝記で語られるよりも思いやりがあって、面白い人だった。私はイーサンに自分を出すよう促した。彼自身が抱えている問題や強さが役作りの足がかりになるからね。

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